仮想通貨を送金すると、その取引には必ずTxID(取引ID/トランザクションハッシュ)が発行されます。詐欺被害の調査では、このTxIDが資金を追う出発点になります。
前回の「取引所別・TxIDの確認方法」では取引所のアプリ上での探し方を解説しました。この記事では、通貨(ETH・BTC・USDT)ごとに、TxIDを取得し、ブロックチェーンエクスプローラーで内容を確認する手順をまとめます。
⚠️ ウォレットアプリやエクスプローラーの画面は更新されることがあります。本記事は一般的な流れの目安です。最新の操作は各サービスの公式情報をご確認ください。
共通の考え方:TxIDとエクスプローラー
どの通貨でも、流れは共通です。
- 送金した取引所またはウォレットの送金(出金)履歴を開く。
- 対象の取引の詳細からTxIDをコピーする。
- その通貨に対応したエクスプローラーにTxIDを貼り付けて検索する。
- 「送信元アドレス」「送信先アドレス」「数量」「日時」「ステータス(成功)」を確認する。
ポイントは、通貨(チェーン)ごとに見るエクスプローラーが違うことです。
ETH(イーサリアム)の場合
- 送金元のウォレット(MetaMaskなど)または取引所の送金履歴を開く。
- 対象の送金の「詳細」を表示し、
0xから始まるTxID(トランザクションハッシュ)をコピーする。 - エクスプローラー Etherscan(etherscan.io) を開く。
- 検索欄にTxIDを貼り付けて検索する。
- 「From(送信元)」「To(送信先)」「Value(数量)」「Status(Success)」を確認する。
例(ダミー):TxID
0x3a1f...c9d2を Etherscan で検索 → 送信先アドレスと数量が表示される。
BTC(ビットコイン)の場合
- 送金元のウォレットまたは取引所の送付履歴を開く。
- 対象取引の詳細からTxIDをコピーする。
- エクスプローラー mempool.space または blockchain.com を開く。
- 検索欄にTxIDを貼り付けて検索する。
- 送信元・送信先アドレス、送金額、承認状況(Confirmed)を確認する。
ビットコインは「お釣り(おつりアドレス)」が発生する仕組みのため、送信先が複数表示されることがあります。実際に相手へ渡った金額がどれかを見極めるのがやや難しく、ここは専門的な解析が役立つ部分です。
USDT(テザー)の場合 — ネットワークの確認が最重要
USDTは詐欺の送金に最も多く使われる通貨のひとつですが、複数のブロックチェーンで発行されているため、まず「どのネットワークで送ったか」を確認する必要があります。
USDT(ERC-20=イーサリアム上)の場合
- 送金履歴でネットワークがERC-20(Ethereum)であることを確認する。
- TxID(
0xから始まる)をコピーする。 - Etherscan(etherscan.io) で検索して内容を確認する。
USDT(TRC-20=トロン上)の場合
- 送金履歴でネットワークがTRC-20(Tron)であることを確認する。
- TxIDをコピーする。
- Tronscan(tronscan.org) で検索して内容を確認する。
同じ「USDTを送った」でも、ERC-20ならEtherscan、TRC-20ならTronscanと、見る場所が変わります。詐欺ではTRC-20(トロン)が使われることも多いので、ネットワークの種類をTxIDとセットで控えることが大切です。通貨ごとの仕組みは「TxIDとは?ETH・BTC・USDTの仕組み」で詳しく解説しています。
なぜ詐欺調査でTxIDの取得が欠かせないのか
- 追跡の起点:TxIDがあれば、送った資金がどのアドレスを経由し、最終的にどの取引所へ着金したかを追える可能性があります。
- 証拠としての価値:日時・数量・送信先が客観的に記録されているため、警察・弁護士への相談材料になります。
- 複数送金の整理:被害が複数回にわたる場合、TxIDごとに流れを整理することで全体像が見えます。
ただし、TxIDがあっても回収を保証するものではありません。ミキサーの利用や、協力に応じない海外取引所への着金など、追跡には限界もあります。それでも「資金がどこへ向かったか」を把握する意義は大きいです。
まとめ
- 送金時のTxIDは、取引履歴の詳細から取得できる。
- 確認に使うエクスプローラーは通貨ごとに異なる:ETH→Etherscan/BTC→mempool.space等/USDT(ERC-20)→Etherscan/USDT(TRC-20)→Tronscan。
- USDTはネットワーク(ERC-20かTRC-20か)をTxIDとセットで控えるのが重要。
- TxIDは追跡の起点になるが、回収を保証するものではない。
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