ベトナム公安省は2024年以降、ソーシャルメディア(SNS)を通じて接触し、段階的に仮想通貨や株式投資へ誘導する詐欺の被害が急増しているとして、繰り返し国民に注意を呼びかけている。「PaynetCoin事件」やフート省での仮想通貨資金調達スキームなど、複数の事案が明るみに出ており、その手口は日本でも類似の被害が報告されるものと共通している。
何が起きているのか
ベトナム当局が警告するのは、主に3段階で進む詐欺の構造だ。まず、FacebookやInstagram、マッチングアプリを通じて「友人」や「恋人」として近づく「ロマンス詐欺」的な接触がある。その後、「信頼できる投資先を知っている」と話を持ちかけ、専用アプリや偽サイトへ誘導して仮想通貨(暗号資産)を入金させる。さらに、新規会員を紹介した人に報酬を与えるMLM(マルチレベルマーケティング)型の仕組みを取り入れ、被害者自身が「紹介者」となって拡散させる事例も確認されているとみられる。
PaynetCoin事件では、後から参加した投資家の資金を先に参加した投資家への「配当」に充てるいわゆる「ポンジスキーム」的な構造が指摘されており、表面上は利益が出ているように見えるため、被害が深刻化するまで気づきにくいとされる。
手口の特徴:なぜ見抜きにくいのか
ChainTrackが注目するのは、この種の詐欺が「信頼の構築」に多大な時間をかける点だ。SNSやメッセージアプリで数週間〜数ヶ月かけて日常会話を重ね、感情的なつながりを作ってから投資の話題を持ち出す。この段階で被害者は「知人から勧められた安全な投資」と認識してしまうため、警戒心が薄れやすい。
また、偽の投資プラットフォームでは最初に少額の「出金成功体験」を演出し、大きな金額を入金させた段階で出金を拒否したり、「追加税金が必要」などと称してさらに資金を要求するパターンが多いとみられる。オンチェーン(ブロックチェーン上の取引履歴)で資金を追うと、被害者から集めた仮想通貨が複数のウォレットを経由してミキサー(資金の出所を分かりにくくするサービス)に流れる事例が海外調査で報告されている。
MLM型の構造は、被害者を「加害者側」に引き込む巧みな設計であり、被害の拡大と同時に告発をためらわせる心理的な効果を生む可能性がある点でも警戒が必要だ。
被害に遭わないための注意点
①SNSやマッチングアプリで知り合った相手から投資を勧められた場合、相手の身元を複数の手段で確認する。②「先に少額で試せる」「友人紹介で報酬がもらえる」などの言葉は詐欺の典型的なサインとして認識する。③仮想通貨の送金先アドレスは第三者機関のブロックチェーン分析ツール(例:Etherscan等)で確認できる場合があるが、偽サイトの判定には専門知識が必要なため、不審と感じたら警察相談窓口(#9110)や消費者ホットライン(188)に早めに相談することを推奨する。
まとめ
ベトナム当局が警告する仮想通貨詐欺は、SNSでの接触・ロマンス的な信頼構築・ポンジ型の資金構造・MLMによる拡散という複合的な手口をとっているとみられる。類似の手口は日本国内でも報告されており、「知人に勧められた」「最初は利益が出た」という状況でも油断は禁物だ。不審な点があれば、資金を送る前に公的機関や専門家への相談を検討してほしい。
参考: Vietnam
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