2025年6月、新潟県十日町市で80代の男性が「息子が仮想通貨取引に失敗した。300〜400万円が必要だ」という電話を受け、現金を引き出そうと信用組合を訪れた。窓口で対応した営業係と預金係の2名が不審に気づき、振り込みを思いとどまるよう説得。特殊詐欺とみられる被害を未然に防いだとして、十日町署から感謝状が贈られた。暗号資産(仮想通貨)の「損失補填」を口実にした特殊詐欺は、近年全国で多発しているパターンの一つであり、ChainTrackでも注視しているトレンドだ。
何が起きたのか
被害者(80代男性)のもとに、「息子」を名乗る人物から電話がかかってきた。「仮想通貨の取引に失敗してしまい、300万〜400万円が急ぎで必要になった」という内容だった。男性はその言葉を信じて現金を用意しようと県信用組合下条支店を訪れたが、窓口担当の中村直栄さんと村山美雪さんが違和感を察知。丁寧な声かけと確認作業によって詐欺の疑いが浮かび上がり、出金を未然に阻止することができた。金融機関の現場スタッフによる「ヒューマンフィルター」が機能した好事例といえる。
手口の特徴:なぜ「仮想通貨」が使われるのか
特殊詐欺において「仮想通貨の損失」を口実にするケースが増えている背景には、複数の理由が考えられる。第一に、仮想通貨は価格変動が大きく「急に大きな損失が出る」というイメージが高齢者層にも浸透しつつあること。第二に、「取引所に入金した資金」「補填のための現金」という名目を作りやすく、被害者に疑念を抱かせにくい点がある。第三に、現金を渡したあとに仮想通貨に変換されると、資金追跡(オンチェーン調査=ブロックチェーン上の取引履歴をたどる作業)が困難になることを悪用している可能性があるとみられる。今回のケースでは現金段階で阻止されたが、実際に送金・入金まで進んだ場合、資金回収の難易度は格段に上がる。
被害に遭わないための注意点
今回のように「息子(家族)からの緊急の電話」は、オレオレ詐欺の典型的な入り口だ。仮想通貨・投資・FXといった言葉が加わることで、現代版の装いになっているが、構造は従来の特殊詐欺と変わらない。いくつかのチェックポイントを押さえておきたい。①電話だけで判断しない:必ず本人の携帯番号に折り返す。②「急いで」「誰にも言わないで」は詐欺のサイン:冷静になる時間を作る。③金融機関の窓口で相談する:今回のように、スタッフが気づいてくれるケースもある。④仮想通貨・投資の損失補填を家族から求められたら第三者に確認:本物の家族なら急かさない。
まとめ
「息子が仮想通貨で失敗した」という口実で高齢者から現金をだまし取ろうとする手口は、SNSや投資ブームに乗じた詐欺の変形版とみられる。今回は金融機関スタッフの機転で被害が防がれたが、全国では同様の手口による被害が続いている。「急な現金要求」「仮想通貨・投資がらみ」というキーワードが重なったときは、立ち止まって周囲に相談することが最大の防御策となる。
参考: 47NEWS
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