2025年7月、三重県伊賀市に住む20代のアルバイト女性が、副業を名目とした特殊詐欺の被害を受け、暗号資産(仮想通貨)合計60万円相当をだまし取られたとみられる事案が発生した。インターネット上の副業サイトがきっかけとなり、LINEでのやり取りを経て指定されたウォレットアドレスへ送金させられたとされる。三重県警伊賀署が7月17日に発表した。
何が起きたのか
被害女性は6月30日、インターネット上の副業関連サイトを通じて見知らぬ人物と知り合い、LINEで連絡を取り合うようになったとされる。その後、「アプリに入金したお金で投資を行う」「暗号資産に変換して、指定するアドレスに送ってほしい」などと誘導され、7月2日にスマートフォンから50万円分と10万円分に分けて、指定されたウォレットアドレスへ送金したという。送金後に連絡が取れなくなるなどして詐欺被害が発覚したとみられる。
手口の特徴:SNSと暗号資産を組み合わせた「副業型」詐欺
ChainTrackが注目するのは、この事案が「副業サイト→LINE→暗号資産送金」という近年急増している三段階の流れを踏んでいる点だ。最初の接触を副業・アルバイト探しという日常的な行動に偽装しているため、ロマンス詐欺(恋愛感情を利用した詐欺)と並んで警戒心を持ちにくい入口となりやすい。
暗号資産(ここでは一般的な仮想通貨を指す)が使われる理由は、送金が即時かつ原則取り消し不能である点にある。銀行振込であれば金融機関が緊急停止できる場合もあるが、ブロックチェーン上の送金はトランザクション(取引記録)が確定すると第三者が介入して止めることは極めて難しい。今回も50万円と10万円に分散して送金させているが、これは一度に大きな金額を動かすことへの心理的ハードルを下げる典型的な分割送金の手法とみられる。
送金先として指定された「ウォレットアドレス」は、オンチェーン調査(ブロックチェーン上の取引履歴を解析すること)によって資金の流れを一定程度追跡できる可能性がある。ただし、詐欺グループが複数のアドレスを経由させたり、ミキシングサービス(資金の追跡を困難にするツール)を使ったりするケースも多く、追跡・回収が現実的に困難になることも少なくない。
被害に遭わないための注意点
①副業サイトやSNSで知り合った相手から「暗号資産を買って指定アドレスに送って」と言われたら、まず詐欺を疑う。正規の副業でこのような手順を求めることはない。②LINEなど無料通話アプリだけでやり取りが完結する案件は要注意。会社名・住所・登録番号を必ず独自に調べる。③送金前に家族や知人、または警察の「#9110(警察相談専用電話)」に相談する。一度送金すると取り戻せない可能性が高い。④すでに送金してしまった場合は、速やかに最寄りの警察署へ被害届を提出し、送金先アドレスやLINEのやり取りのスクリーンショットを保全する。
まとめ
副業サイトを入口にLINEで誘導し、暗号資産を指定アドレスへ送金させる詐欺が地方でも被害を生んでいる。暗号資産の送金は原則取り消し不能であるため、「送金前の確認」が最重要の防衛策だ。少しでも不審に感じたら送金を止め、警察や専門機関へ相談してほしい。
参考: Iga-younet
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