韓国の金融委員会と金融監督院は2025年、仮想資産利用者保護法の施行から2年間における不公正取引の調査成果を発表した。調査対象は40件超にのぼり、そのうち30件超が捜査機関に送致された。被疑者は計25人で、1件当たりの平均不正利益は14億ウォン(約2億円)に達したとされる。相場操縦からSNSを使った偽情報の流布まで、手口は多岐にわたっており、日本の投資家にとっても他人事ではない内容だ。
摘発された主な手口
今回の調査で明らかになった不正行為の大半は、「競走馬」や「生け簀(いけす)」と呼ばれる相場操縦の手法だったとされる。「競走馬」とは、特定の銘柄を意図的に連続売買して価格を急騰させ、一般投資家を引き込んだあとで大量売却して利益を得る手法のことを指す。「生け簀」は、閉じたグループや特定チャンネル内で参加者を囲い込み、価格操作の標的となる銘柄へと誘導するとみられる手口だ。さらに、SNS上で虚偽の好材料情報を流布して相場を動かす事例も含まれており、X(旧Twitter)やTelegramなどを使った情報操作が疑われるケースが確認されている。
SNSとロマンス詐欺との接点
ChainTrackが注目するのは、SNSを入口とした不正取引の広がりだ。韓国当局の摘発事例では、偽情報の流布にSNSが活用されたとされるが、日本でも類似した手口が「ロマンス詐欺」や「投資グループ詐欺」として多数報告されている。交流サイトで親しくなった相手から特定の仮想資産銘柄を勧められ、購入したタイミングで価格が急落するという被害パターンは、「生け簀」型の相場操縦と構造的に似ているとみられる。価格が急騰している銘柄をSNSで紹介された場合は、操作の可能性を念頭に慎重に判断することが重要だ。
当局の今後の対策
韓国金融当局は、AIを活用した市場監視システムの高度化を進める方針を示している。また、デジタル資産法の改正により、不審な口座への支払い停止措置や、不正取引の通報に対する報奨金制度の導入も検討されているとされる。日本では金融庁が暗号資産交換業者への監督強化を続けているものの、オンチェーン(ブロックチェーン上の取引記録)の解析を活用した監視体制の整備はまだ途上段階にある。韓国の摘発事例は、制度整備の先行モデルとして参考になる部分が多い。
まとめ
韓国当局は2年間で30件超の仮想資産不正取引を摘発し、1件平均約2億円の不正利益が確認されたとされる。手口の中心は相場操縦だが、SNSを使った偽情報の流布も含まれており、ロマンス詐欺など日本でも多発する詐欺との共通点が見られる。SNS上の投資情報や知人からの銘柄紹介には十分な注意が必要だ。
参考: Biggo
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